小鳥の内緒話

雨がザアザアと降っているときに聞こえる小鳥の内緒話です。

「きょうも お空から水がたくさんおちてくるねえ。」
「ばかだなあ、あれは雨っていうんだよ。」
「あめ?」
「そうだよ。お空からおちてくるのは雨さ。」
「ふうん。」

「雨がやむと、虫がたくさんでてくるからいいね。」
「そうだね。ここいらは ぼくたちが食べるものがいっぱいあるね。 」

「あっ、人間があるいてくるよ。」
「だいじょうぶだよ。人間は僕たちのことかわいいっていうもの。」
「かわいい?」
「うん。僕たちは小さいからかわいいんだって。」
「パンくずをくれる人もいるよね。」
「うん、あれはなかなかおいしいよ。」
「へえ。僕もいっぺん食べてみたいなあ。」
「そら、そのうち誰かがくれるから よく見ててごらん。」

引用元:日本語版Wikipedia


「人間は僕たちを食べないの?」
「人間はもっと大きな鳥をたべるらしいよ。」
「もっと大きな鳥?」
「うん。だから僕たちのことは食べないよ。」


「小さくてかわいいから だいじょうぶだよ。」
「僕もかわいいの?」
「うん、そうだよ。」
「ここいらの人は、小さくてかわいいものがすきなんだって。」
「へえ。なんだかてれくさいや。」

「なんだか楽しいね。」
「うん、まいにち美味しいものが食べられるし、こわい動物もいないね。」
「あすこのお家の庭にはえている木の実は美味しいね。」
「あれはビワっていうんだよ。」
「僕たちが食べても、だれもおこらないね。」
「人間は、きっとちがうものを食べてるんだよ。」
「ふうん。僕はビワがいっとう好きだよ。」
「僕もだよ。」

「僕たち ことりでよかったね。」
「うん、よかったね。」

「あ、すずめさんたちも来たよ。」
「そら、すこし右に寄って。すずめさんがとまれないじゃないか。」
「すずめさん、いらっしゃい。」

「僕たちことりでよかったね。」
「そうだね。」

雨が少し強くなってきました。
鳥たちは、仲良く肩を並べて、桜の木の枝にその身を寄せ合うのでした。

小鳥のおしゃべりはこれでお終い。



木の上から鳥のさえずりが聞こえると、こういう妄想をしながら通り過ぎます。

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